RWC2019

選手の言葉で振り返るファイナルの激闘~ラグビーW杯2019決勝・南アフリカ対イングランド

2019.11.3 12:30

44日間にわたり、日本列島を熱狂の渦に巻き込んだラグビーW杯は「スプリングボクス」こと南アフリカの3大会ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。

下馬評は準決勝でニュージーランドに快勝したイングランドがやや優勢だったが、南アフリカがフィジカルを武器に攻守で前に出て、スクラムでも終始プレッシャーをかけ続けて32-12で完勝した。

それでは優勝した南アフリカと、敗戦したイングランドの指揮官や選手のコメントで試合を振り返りたい。

 

◇南アフリカ

ラシー・エラスムスHC

「私たちはラグビーチャンピオンシップのずっと前に、(W杯に向けてのプランを)犠牲とは言わないことに決めましたが、他のチームよりもずっと遅れていたので、チャンスを得るには20週間一緒にいなければなりませんでした。

私たちはワールドカップを勝ち取ろうとすることが大きな名誉だと思った。今は19週目で、20週目はいつも南アフリカのトロフィーツアーです。私たちは誇りに思います。幸運もあったことはわかっていますし、多くの人が成功しないと言いましたが、南アフリカ人は決してあきらめません。

(スクラムで優位に立つためのゲームプランについて)多くの人を怒らせるので、後になって賢かったと言われるのは嫌だ。これはわれわれが過去5試合をプレーしてきたやり方から生じたものであり、特に中5日なのでプランをしっかり保つようにした。

(南アフリカが次の世界タイトルを獲得するには、あと12年待たなければならないのか) 私が2年前(18か月前)に就任したときは、ワールドカップまで618日で、私たちは優勝するための準備をしました。イギリスとアイルランドのライオンズ(ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの2021年の対戦)まであと614日で、今から計画を始めます。最初のテストマッチを落とすと、人々はワールドカップのことを忘れてしまいます。

(南アフリカがどのように適応したかについて聞かれて)監督としては初めてのW杯で、オールブラックスの試合はプレッシャーに耐えるための大きなテストでした。その週、私たちは最悪だったし、緊張していたし、ひどいビルドアップで、それが準々決勝と準決勝の扱い方を教えてくれた。

ラグビーはプレッシャーを与えるべきではなく、希望を与えるべきだ。我々には重荷ではなく名誉がある。ラグビーはプレッシャーをつくり出すべきでない。希望を生み出すべきだ。希望はいいプレーをし、人々が試合を見て楽しいバーベキューをやったりするときに生まれる。政治的あるいは宗教的な違いにかかわらず、この80分間は意見が違っても一致するのがラグビーだ。

(キャプテンFLシヤ・コリシに対して)彼に対して50回目のテストマッチを記念するジャージーの贈呈式をやったとき、とてもいい話し合いをした。厳しい時やチャンスを見付けようと苦闘していることについては話しやすいが、(コリシが幼少のころそうだったように)食べ物がなく、学校にも行けない、履く靴もないとなると、つらいことだ。 食べ物がなかったこともあるシヤがキャプテンなんだよ。彼は南アを率いてこのカップを抱くことができた。それがシヤだ」

 

キャプテン FLシヤ・コリシ

 「(優勝後の気持ちは)何と表現すればいいか分からない。どれだけハードワークしてきたかを知っているから、チームメートの喜ぶ顔を見られて最高だった。

(ラシー・エラスムス監督について)監督はわれわれを盛り立てて、今までないレベルに引き上げてくれた。(最初に会ったのは)ヨハネスブルグだった。単刀直入にラグビー以外にも大切なことがあると教えてくれた。変わらなければいけないと。個人の目標よりも、スプリングボクスというチームを大切にしてほしいと言っていた。お金を使い果たし、われわれのプレーを見に来てくれる人もいる。僕らは考え方を変え、SNSと距離を置き、全身全霊をかけてプレーすることになった。監督はいつも正直で、いつも僕らのためにいてくれ、本当に心強かった」

 

SHファフ・デクラーク

「最高だ。何よりも重要なのは、これには多くのプラス面があることだ。南アフリカにとって、これは大きな意味を持ち、私たちは彼らのためにプレーしたかったのです。私たちが彼らから受けたサポートは非常に大きかった。私たちは、人々を団結させることができるかもしれないことがわかっていました。私たちだけでなく、国にとっても大きなものです。

(プレッシャーをどうはねのけたか?)いつもプレッシャーがあったが、僕らは冷静でバランスの取れたチームだった。予想を超えたが、できることは分かっていた。ニュージーランドに負けた後、毎週成長できたことを最後に示すことができた。イングランドは自陣からプレーしようとしたが、ディフェンスは本当にすばらしかった。それは私たちに自信を与えた。

(南アフリカが優勝できた理由は?)コーチ陣が立てたプランを遂行したことが主な要因。最初から決勝で勝てるラグビーをしようと思っていた。プランから外れることがなかった。母国のために優勝できたことが大きい。このいい流れを続けられたらいい」

 

PRテンダイ・ムタワリラ

 「我々がワールドチャンピオンだというのは本当に興奮する。このチームの一員であることは特別だ。一緒にかなり長い旅をしてきたし、たくさんの失敗から得た教訓もあったが、最後に全て報われた。

(FW陣の優勢について)スプリングボクスのFWとして、我々はセットプレーに大いに誇りを持っている。大会を通じてFW陣は機能していた。(今日も)支配しようと試合に入ったし、前半に何度かペナルティを取れたのはよかった。FW戦で支配したかった。長い間よりよくしようと取り組んできたものだった。全てのハードワークが報われたし8人全員が大きな違いを作った」

 

HOボンギ・ムボナンビ

 「脳震盪でドクターと話し合った。ワールドカップの決勝だったので、退きたくはなかった。だが仕方ない。監督は、1週間非常にうまく落とし込みました。皆それぞれに歴史があり、経験してきた道のりがあると。私たちは何度か失望を経験したかもしれない。チームのほとんどの選手は夢をあきらめかけていましたが、前進し続ける力を与えてくれた神様に感謝します」

 

FLフランソワ・ロー

「私のキャリアを締めくくるものだ。南アフリカ代表での最後の試合だった。76試合、10年、これ以上大きいもの、特別なものはない。それはとても長い道で、時に困難な道でした。私たちはスプリングボクスのラグビーの歴史の中で非常に暗い2年を過ごしてきました。そして、私たちのように団結したチームを作るために、私たちは復活しました。南アフリカを代表するチームです。W杯で優勝することは残りの人生に何か豊かなものを与えてくれるでしょう」

 

CTBフランソワ・ステイン

「(12年ぶり優勝について)もちろん驚くべきことだ。あのワールドカップ以来、たくさんのことを経験してきました。数週間前に叔父を亡くしました。数年前に兄を亡くしました。当時の自分から今の自分へと、すべてが大きく変わった。ここに来る途中のバスで、それを考えていました。彼らは今夜の試合前に私とともにいました。

国は当時よりも悪い状況にあるので、それは大きなものだ。最近、多くの干ばつがあり、他にも多くの問題がある。これが国を一つにしてくれたらいい」

 

◇イングランド

エディー・ジョーンズHC

 「予想した結果ではなかった。質問については分からない。南アフリカはとてもいいプレーをしたし勝者にふさわしい。今日は彼らにかなわなかったし、残念なことに試合に入れなかった。チャンスがあった時もそれをものにしなかった。今日は南アフリカの方がいい日だったので彼らが勝者にふさわしい

(何がうまくいかなかった)あまり分からない。スクラムで困難に直面した。前半は特に苦しんだ。後半は選手を替えて盛り返したが、それでも南アフリカは強すぎた。

(南アフリカを止めるのがどれだけ大変か)少し試合をオープンな展開に持ち込まないといけないし、食らいつかないといけない。よく食らいついたと思うし50分まではチャンスがあったが、好機をつかめなかった。彼らはつかんだし、それが違いを生んだ。

(カイル・シンクラーの状況と開始直後に彼を失った影響)回復しているところだ。頭の怪我に関する検査をしている。それも試合の一部だ。23人選手がいるし、選手を早く失ってもカバーできなければならない。試合の中でそれほど大きな要素だったとは思わない。

(このイングランドのチームをどう覚えていてほしいか)世界で2番目のチームだ。目標は世界一のチームになることだったが、達成はできず世界で2番目のチームになった。だから、そう覚えられるべきだ。選手はこのW杯に向けてものすごくよく準備したと思うし、たくさんのプライドと情熱を持ってプレーしたが、今日は足りなかった。こういったことも起こる。だが選手の努力を疑うことはできない。彼らは並外れていた。なぜ今日足りなかったかは分からないし、時にずっと分からない時もある。

とても落胆しているが、同時に選手がしたことにすごく感嘆している。どれだけハードワークし、どれだけよくプレーしてきたか、彼らにどれだけの尊敬を持っているか口では言い表せないが、今日は力が足りなかった。ただ努力が足りなかったからではない。

素晴らしいW杯だった。参加できて恐縮だし世界一になれず落胆している。2位だった。銀メダルは金メダルほどよくはないが、それでも銀メダルだし選手を誇りに思う。彼らが日本でどう振る舞ったかも誇りに思う。イングランドラグビー、ラグビーそのものの素晴らしい大使だった。ラグビーはこの大会を通して成長した。新たなラグビーの強国が生まれ、日本はその影響をアジアに及ぼすと思うのでラグビーは成長している。

競った素晴らしい試合もあり、審判がうまく裁き、よく運営され、よく組織されていた。すばらしい大会だったし、日本はラグビーと国民のために成し遂げたことを大いに誇りに思うべきだ。今日は残念だ。ただいつも次のチャンスはある」

 

キャプテン SOオーウェン・ファレル

「いいスタートが切れず、前半のパフォーマンスにはがっかりしているが、それでも選手たちを誇りに思います。この大会のためにこれまでやってきたこと、歩いてきた道のりを誇りに思っています。 後半は戦う姿勢を見せられたと思うが、南アフリカは非常にすばらしい。 イングランドのファンにまず感謝する。母国で応援してくれた人も、ここに来てくれた人も。本当にみんなのサポートは私たちにとって大きなものでした。そしてホスト国の日本にもすばらしい大会をありがとうと言いたい」

 

WTBジョニー・メイ

 「我々がどう感じているか言葉にするのは難しい。どんな理由であれ今日はわれわれの力が足りず南アフリカは力があった。それだけだ。

(試合後のファレル主将の言葉は)成し遂げたことを誇りに思わないといけないし、特別なチームだと。自分もそう思う。特別なチームだ。チーム内の才能や時折われわれが見せたラグビーはこれまで経験してきた何よりもよかった。それをそのまま続け、一体感を保つことだ。

(南アフリカ代表について)決勝では全てが重要だ。ノックオンするだけで相手が勢い付き、自分たちがより強いプレッシャーにさらされているのが分かる。小さな場面で正確性を欠くことが多すぎたし、積み重なりすぎた。

(銀メダルについて)全てが落ち着いて感覚を取り戻せば、日本でのワールドカップでイングランド代表の1人としてプレーしたというのが特別だと分かる。いくつも素晴らしい瞬間があった。これ以上できなかったし、チームもこれ以上できなかった。それが今日起きたこと。国を代表するのは特別だった」

SOジョージ・フォード 「まず南アフリカにおめでとうと言いたい。今日は彼らの方がかなり上だった。われわれは最初の20分で正確性を欠いたし、あらゆる面で足掛かりをつかめなかった。彼らはプレッシャーを掛け続けて点も挙げたし、南アフリカのようなチームに追いつくのはいつも大変だ。とても残念だし、何が指摘することはできないが、そういう日もある。

(ニュージーランド戦の内容を続けられなかったことについて)決勝というのはその当日どうかで決まる。決勝に到達しても最後の物までは与えられないし、何も保証されない。先週も言った通り、与えられたのは機会。仕上げるには力が足らなかった。

しかし、私はこのチームを誇りに思っていますし、その一員であることを誇りに思っていますし、今回のワールドカップで私たちは公平な道を歩んできたと感じています。私たちは一緒に、先に進もうと思う。 誰かを安心させるために何かを言うのは難しいが、ただ私たちは一緒の時間を非常に楽しんだだけだ。私たちはトーナメントを通して、グループとしてより違いが近くなったと感じ、良いラグビーをしてきました。

私たちが今夜とこれから数日間をお互いの周りで過ごしていることを確認するために、この大会の思い出や瞬間を振り返ることになると思います。今は難しいですが、私たちはまだともにいます。

 

FLサム・アンダーヒル

「(今の気持ちは)がっかりしている。正しく理解するには少し時間がかかるだろう。今夜はがっかりだよ。1つだけ言っておきたいのは、私はその瞬間のすべてを愛してきた、素晴らしい、1年の3分の1近くも離れていた、ということだ。ここで一緒にプレーした人たちと一緒に仕事ができることは、本当に光栄なことです。皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと思いますが、素晴らしいサポートだと思いました。最後に少しだけ言っておきますが、イングランドのファンがまだ私たちを応援してくれているのを見ると、母国からのすべてのメッセージがとても意味を持っているので、私たちがもっと良くなることを願っています。 チームスポーツであり、コントロールできない部分が非常に多い。そこには多くのことが含まれています。南アフリカは最高でした。言えることはあまりありません。彼らは今夜私たちよりも良かったし、それがゲームだ。あまり多くのことはできないので、自分でコントロールできるものだけをコントロールするしかない。悔しいですが、向こうがいいプレーをしました。スタイルは関係なく、私たちは受ける側になってしまった」

この記事を書いたひと

野辺優子YUKO NOBE

東京外国語大を卒業後、パリの大学院でベトナム映画を研究。在学中は現地でフランス、イタリアのサッカーやラグビー等のスポーツメディアのインタビューや翻訳に携わる。現在は映画・演劇研究のかたわらフリーの翻訳、ライターとしても活動。大学時代はラグビー部のマネージャー。