RWC2019

南アフリカが決勝でイングランドを32-12で圧倒し3大会ぶり3度目の優勝!

2019.11.2 22:00

11月2日(土)、第9回ラグビーワールドカップ2019日本大会の最終日。数々の名勝負、感動的な場面が生まれた大会の掉尾を飾る決勝、イングランド対南アフリカの一戦が行われた。神奈川・横浜国際総合競技場には今大会最多の70,103人のファンが詰めかけ、王者の誕生の瞬間を見守った。

2003年のオーストラリア大会で初優勝しているイングランドは、2度目の頂点を目指す一戦となった。2007年大会の決勝は南アフリカに敗れており、また、ホスト国だった前回大会はプール戦で敗退しているだけに、雪辱を果たす決勝となった。

イングランドはSHウィリー・ヘインズが負傷し、SHベン・スペンサーを緊急招集しリザーブに据えたが、それ以外は準決勝のニュージーランド戦と同じメンバーとなった。キャプテンのCTBオーウェン・ファレル以下、LOマロ・イトジェ、FLトム・カリー&サム・アンダーヒル、SOジョージ・フォード、WTBジョニー・メイら実績十分のメンバーが並んだ。

イングランドのエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は優勝に向けてこのようにコメントした。

「この試合(決勝)のために準備してきた。戦術的に明確にして、どうプレーするかを考えてきた。この大会を本当に楽しんでいる。もう一回いいプレーをするチャンスがある。だから何も恐れずにプレーしたい。南アフリカという相手は簡単ではない。非常にフィジカルなプレーをしてくるだろう。それに対抗したい」

そして最後に「我々は何をすればいいかわかっている。非常にいい準備をしてきた」

と付け加え、自信をのぞかせた。

一方の南アフリカも、準決勝のウェールズ戦は負傷で外れていたWTBチェスリン・コルビが復帰し、この試合が代表50キャップ目となるシヤ・コリシをはじめベストメンバーが揃った。PRテンダイ・ムタワリラ、LOエベン・エツベス、FLピーター=ステフ・デュトイ、NO8ドウェイン・フェルミューレン、SHファフ・デクラーク、SOハンドレ・ポラード、CTBダミアン・デアリエンディら錚々たるメンバーが3度目の優勝に挑んだ。

ラシー・エラスマスHCはこう語り、

「決勝に進出したことは素晴らしい。勝つために最善を尽くすし、イングランドを追い詰め、勝つチャンスが本当にあると思っている。ただ、今後は一貫した結果を残さないといけない。選手や素晴らしいコーチ陣、設備や構造がある中で先へ進むいいきっかけだし、世界のラグビーのトップ3にとどまる、あるいは常にそこを目指して競わなければならない」

と、優勝はもちろん、それがもたらす今後への効果について期待を寄せた。

南アフリカのキックオフで始まった前半、開始早々の2分に南アフリカSOポラードのPGは不成功に終わるが、10分の2本目のPGは成功させて、南アフリカが3-0と先制に成功する。

その間、前半3分にPRカイル・シンクラーがいきなり負傷交替したイングランドだったが、23分、南アフリカのノットロールアウェイからイングランドCTBファレルがPGを成功させて3-3の同点に追いつく。

26分には南アフリカSOポラード、35分にはイングランドCTBファレルがそれぞれPGを決めて再び6-6の同点となるが、イングランドは39分にノットロールアウェイ、43分にスクラムのコラプシングと相次いでペナルティを犯し、南アフリカSOポラードがいずれもPGを成功させ12-6とリードして前半を折り返す。

後半に入っても、イングランドは6分にスクラムでコラプシングを取られ、ペナルティを献上。南アフリカSOポラードがまたもPGを決めて15-6と9点差に広げる。負けられないイングランドも12分にCTBファレルがPGを決めて15-9とするが、15分のPGは決めきれずに終わる。

逆に南アフリカは18分、イングランドのオフサイドでSOポラードがPGを成功させて9-18。イングランドも20分にはCTBファレルが4本目のPG成功で12-18と、再び6点差に付けて踏みとどまる。

後半24分、南アフリカSOポラードのPGは不成功に終わるが、直後の26分、WTBマカゾレ・マピンピが前方にパントを放ち、ボールに追いついたCTBルカンヨ・アムから再びWTBマピンピにパスが渡り、そのままインゴールへ。TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)を経てこの試合の最初のトライが決まり25-12と南アフリカがリードを広げる。

さらに34分、自陣からパスを回すしかなかったイングランドは南アフリカHOマルコム・マークスのタックルでボールを落とすと、こぼれ球をCTBアムがFLデュトイにパスし、大外に構えていたWTBコルビがステップで相手ディフェンスをかわしてトライ。32-12として試合を決定づけた。

フルタイムとなった40分、ラックからパスを受けたSOポラードがボールをスタンドに蹴り出した瞬間、南アフリカの3大会(12年)ぶり3度目の優勝が決まった。表彰式ではキャプテンのFLコリシが優勝杯「ウェブ・エリス・カップ」を高々と掲げ、チーム全員が喜びを爆発させた。

わずか2年でチームを再建し優勝に導いた南アフリカのエラスムスHCは試合後、自らが率いてきたチームを称えた。

「選手は自分たちを信じていまいた。19週間もの間ともに過ごしてきた仲間を。みんなはお互いのことを本当によくわかり合っていました。イングランドをリスペクトします。私たちはたくさん準備をしてきて、イングランドと最後までハードな戦いをしました。幸運もあったかと思いますが選手たちを誇りに思います。彼らはこの舞台を楽しんでいました」

同国の黒人初のキャプテンとして優勝を成し遂げたFLコリシは、

「チームのみんなに本当に感謝しています。多くのチャレンジに立ち向かわなければなりませんでしたが、南アフリカの皆さんがいつも支えてくれていました。

私たちの国には本当に多くの問題があります。私たちのチームのように、さまざまなバックグラウンド、さまざまな人種の選手がいますが、ひとつの目標に向かって、ともにやってきました。私たちのやったことが南アフリカのためになれば幸いです。何かを成し遂げたければ、ともに協力し合うことを見せることができたのなら嬉しいです」

と語り、今回の優勝を祖国に捧げた。

2度目の優勝を逃した敗軍の将、イングランドのジョーンズHCは、

「ゲームの入りが非常に苦しかったです。選手は素晴らしかったが、前に出るのが難しかった。選手たちは今までハードワークをしてきて、このワールドカップを通して、そしてこの試合のためにしっかりと準備をしてきました。準備に失敗はありませんでした。選手たちはプライドと情熱を持って戦いました。ただ十分ではなかったようです。南アフリカの選手はすばらしいパフォーマンスをしました。おめでとうございます」

と相手を称えつつ、

「日本大会も本当に素晴らしかった。お客さんはいつもいっぱいで、グラウンドも素晴らしい。運営はファーストクラスでした。ありがとうございます」

と日本の大会運営と多くのファンに謝意を示した。

イングランドのキャプテンCTBファレルも、

「いいスタートが切れず、前半のパフォーマンスにはがっかりしているが、それでも選手たちを誇りに思う。この大会のためにこれまでやってきたこと、歩いてきた道のりを誇りに思っている。後半は戦う姿勢を見せられたと思うが、南アフリカは非常に素晴らしい。そしてホスト国の日本にも素晴らしい大会をありがとうと言いたい」

と南アフリカを称え、日本への感謝も忘れなかった。

ラグビーワールドカップ2019日本大会は、チーム開幕戦でニュージーランドの唯一の黒星を喫したものの、準々決勝で日本代表を破るなど尻上がりに強みを増していった南アフリカが制した。2023年のフランス大会では連覇なるか、それとも他の国が待ったをかけるか。4年後の大舞台が早くも待ちきれない。

◇プレイヤー・オブ・ザ・マッチは南アNO8フェルミューレン!

日本のトップリーグ、クボタスピアーズで活躍する南アフリカNO8ドウェイン・フェルミューレンが、同国3度目の優勝を決めた決勝の大一番で80分間フル出場し、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。

ランメーターは49mで、両チーム通じてFWではトップの数値をマーク。ターンオーバー獲得数も最多の2回と、チームに勢いをもたらす活躍をし続けた。

「イングランドには本当に素晴らしい(FLの)アンダーヒルとカリーという2人のフェッチャー(ボールを奪う能力の高い選手)がいることをわかっていました。彼らはこの大会中本当に素晴らしかったです。ブレイクダウンで何かをしなければいけないと思っていました。互いにターンオーバーがありました。この勝利で終わって最高です!」

そのようにコメントしたフェルミューレンは、23人全員の勝利であることを続けて強調した。

「“ボム・スコッド”と言われるすごい控えのFWを我々は持っています。ベンチからものすごいインパクトを与えてくれました。そして私たちはチャンスとペナルティを得ました」

そして最後に、

「私たちは南アフリカの5700万人のために戦いました。チームの一貫性が欲しかったですし、何かを成し遂げたかった。つまり希望を作りたかったのです。幸運にも今日その目標を達成しました」

日ごろからプレーしてきた日本から、愛する母国に向けて大きな希望をもたらした世界的エイトマンの、今後のさらなる輝かしいキャリアに期待したい。

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。