RWC2019

ニュージーランド、ウェールズとの3位決定戦を40-17で制し大会を締めくくる

2019.11.1 22:00

ラグビーワールドカップ2019日本大会も残すは2試合。11月1日(金)は準決勝で敗れた2チーム、ニュージーランド(世界ランキング3位)とウェールズ(同4位)による「ブロンズファイナル」こと3位決定戦が行われた。

開会式と開幕戦が行われた東京スタジアムでの最後の一戦には48,842人もの観客が国内外から訪れ、両チームの惜しみないパフォーマンスを堪能した。

優勝候補筆頭とみられていたニュージーランドは準決勝でイングランドに完敗(19-7)。持ち味であるスピード感あふれるアタックをほぼ完全に封じられ、自国と世界中の「オールブラックス」ファンを落胆させた。それでもチームは前を向き、この試合をもって指揮官の座を退くスティーブ・ハンセンHC(ヘッドコーチ)は、

「チームは傷つき痛みを感じている。しかしそれをいい方向に生かさなければ(ならない)。(準々決勝でフランスに敗れた)2007年(大会)のおかげでワールドカップ2連覇(2011年、2015年大会)が実現した。敗戦のつらさを、身をもって経験した結果だ」

と、苦杯から立ち直ることが今後につながると強調。また、

「大事な試合だ。(モチベーションは)いろいろあるが、まずは敗戦から立ち直ること。また、ウェールズとは(66年間負けていない)歴史がある。それをキープすること」

と、3位死守への強い意欲を示した。

メンバーはキャプテンのNO8キアラン・リードをはじめLOブロディー・レタリック、SHアーロン・スミス、SOリッチー・モウンガ、FBボーデン・バレットといった中軸が揃った一方で、FLシャノン・フリゼル、CTBライアン・クロッティ、WTBリーコ・イオアネ&ベン・スミスといった、今大会で出場機会がやや少なかった選手も先発入りした。

一方のウェールズは準決勝で南アフリカに16-19と3点差で惜敗。初の決勝を逃したものの、1987年の第1回大会以来の3位を目指すこととなった。

こちらもこの試合が最後の指揮となるウォーレン・ガットランドHCは、3位決定戦に向けて強い決意を示した。

「決勝に残れなかったことで選手はがっかりしているが、オールブラックス相手に歴史をつくるチャンスだ。ウェールズは他の国とはいい成績を残しているが、オールブラックスには66年間も勝っていない。今度の試合は大きなプライドがかかっているし、勝てれば本当に特別なことになる」

また、12年間の指揮したウェールズでのラストマッチとなることについては、

「ウェールズは私に機会を与えてくれ、私はそれを心から愛した。成功ばかりでなく落胆がいくつもあったが、私たちのやってきたことを誇りに思う。最大の想い出はウェールズの赤いジャージーを着た地元の人が笑顔を取り戻してくれたことだ」

と、長年過ごしたウェールズへの謝意を示した。

メンバーは負傷者が相次いだことなどから、こちらも準決勝から一部選手を入れ替え。キャプテンのLOアラン・ウィン・ジョーンズ、FLジャスティン・ティピュリック、CTBジョナサン・デーヴィス、そしてキックオフ前時点で大会トライ王のWTBジョシュ・アダムスは固定し、リザーブ中心だったSHトモス・ウィリアムズ、SOリース・パッチェルらが先発に回った。SHガレス・デーヴィス、SOダン・ビガーらはリザーブに回った。

 

SHスミスが先導したオールブラックスの「ハカ」の後、キックオフ。先手を取ったのはそのニュージーランドだった。

前半4分、SOモウンガのPGは不成功に終わるが、直後の5分、SOモウンガからNO8リード、LOレタリックとパスがつながり、ゲインしたLOレタリックをフォローしていたPRムーディがインゴールまで走り切りトライ。SOモウンガのゴールも決まり、ニュージーランドが7-0と先制する。

12分にはニュージーランドSHアーロン・スミスからシザースパスを受けたFBボーデン・バレットが相手ディフェンスのギャップを突いてトライ。14-0とリードを広げる。

ウェールズも反撃する。前半19分、ラックから出たボールをSOパッチェルがロングパス。キャッチしたFBハラム・アモスがインゴールに飛び込んでトライ。SOパッチェルのゴール成功で14-7とする。27分にはSOパッチェルのPGで14-10と、さらに追い上げる。

4点差に迫られたニュージーランドだが、前半終盤の33分、41分にベテランのWTBベン・スミスが連続トライを決めて、28-10と再びウェールズを突き放したところでハーフタイムとなる。

後半もニュージーランドの勢いは止まらない。キックオフ早々の2分、敵陣でのラックからSHアーロン・スミス、SOモウンガとパスが渡り、CTBソニービル・ウィリアムズが得意のオフロードパスを放つと、キャッチしたCTBクロッティがトライ。35-10とさらにリードを広げる。

だが、ウェールズもあきらめない。後半19分、敵陣深い位置まで攻め込むと、ゴール前のラックからパスを受けたWTBアダムスがラックサイドに潜り込んでトライ。大会通算7トライ目を決めて35-17とする。

必死に食らいつくウェールズに対し、最後まで攻撃の手を緩めないニュージーランドは、試合終了間際の後半36分にSOモウンガがギャップを突いてダメ押しとなるトライを決めて、40-17としてそのままノーサイド。ニュージーランドは大会3連覇こそ逃したが、3位で日本での戦いを締めくくった。

ハンセンHCは試合後、自軍と相手を惜しみなく称えた。

「私たちは戻ってきて、ジャージーとファンに敬意を表し、先週の失望を乗り越えることが重要だった。これは両陣営にとって難しい試合であり、私はウェールズにもお祝いの言葉を伝えたい」

そして最後に、2度の優勝を含む15年間のコーチング生活に対して万感の思いを込めて、「名誉でしかありません」と締めくくった。

チームを牽引してきたキャプテンのNO8リードは、

「このような観衆を見ることを心から誇りに思い、ジャージーを背負うのは最高です。彼らは『オールブラック』であることの意味を本当に理解していて、私はそれが本当に大好きなので、そこに戻ってこられたのは最高です」

と、ファンの応援への感謝とジャージーへの誇りを語った。

敗れたウェールズのガットランドHCも、これが代表指揮官として最後の試合となった。まずは「オールブラックスの皆さん、おめでとうございます」と相手を称えると、

「今夜は素晴らしいと思いました。ハーフタイム直前で21-10でした。私は、選手たちが後半にとても一生懸命に努力したと思いました、ベンチの選手たちも、選手たちは決してあきらめませんでした。彼らは後半もいいラグビーをしようとしていたので、とても喜んでいます」

と、選手たちの姿勢を褒め称えた。「先週(準決勝)の南アフリカと今夜のオールブラックスの中4日のゲームは我々には少し難しかった」と本音もこぼれた。

ウェールズのキャプテン、LOアラン・ウィン・ジョーンズは、

「私たちはもっとプレーしようとしたが、スコアにそれを反映できませんでした。今日ここで本当に失うものは何もなく、私たちは向かっていく姿勢を示したかった。

私たちはこれを今日ファンのために記憶に残るものにしたかったが、残念ながらスコアボードは間違った形になってしまった。それでも、ジャージーを着て、私たちがやるべきことを見せられたことは誇りに思う」

と、結果は不本意に感じながらもプレーには誇りを持てたと強調した。

1991年、2003年大会に続く3度目の3位となったニュージーランド。2011年大会以来、2度目の4位で大会を終えたウェールズ。どちらも優勝という目標は果たせなかったが、両チームのパフォーマンスを称える拍手は最後まで鳴りやまなかった。

◇今季、神戸製鋼でプレーするNZLOレタリックが試合の最優秀選手に

タックル成功数はNO8リード(21回)に次ぐ18回、成功率もNO8リード(91%)に次ぐ90%をマークしたニュージーランドLOブロディー・レタリックが、この試合のプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出された

モチベーションの難しい3位決定戦に臨み、制したことについてLOレタリックは、

「先週の(準決勝イングランド戦の)後、私たちは、ニュージーランドや世界中からやってきたすべてのサポーターのために、私たちが誇りに思うパフォーマンスをしたいと思っていたので、今夜勝つことができてとても感謝しています。

2、3日かかりましたが、私たちはそれをモチベーションとして、今夜戦いました。そうすることで選手たちが再び大きな努力をし、私たちが成し遂げたことを誇りに思うことができます」

と語り、この勝利がオールブラックスの今後につながると強調した。

大会後、トップリーグの神戸製鋼でプレーすることが決まっているLOレタリック。引き続きワールドクラスのパフォーマンスを日本で見せてくれるはずだ。

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。