RWC2019

「日本代表が決勝トーナメントで戦う姿を見たい!」大畑大介氏が語るラグビーワールドカップ vol.1

日本代表のレジェンドWTB大畑大介氏が語るラグビーワールドカップ2019日本大会 vol.1
2019.9.15 8:21

「ワールドカップは選手にとってすべてを賭けて戦える最高の舞台です」

9月20日(金)に開幕するラグビーワールドカップまで、いよいよ、あと1週間あまり。ラグビー日本代表は、予選プールで3勝以上挙げて、史上初のベスト8に進出することができるのか。ワールドカップに2大会出場し、WTBとしてトライを量産してテストマッチの世界記録(69トライ)も持つ日本代表のレジェンド・大畑大介氏を直撃した。前編では、9月6日に南アフリカ代表と対戦し、大会直前のすべてのテストマッチを終えた日本代表の現状やワールドカップでの戦い方などを訊いた。

――9月6日、埼玉・熊谷ラグビー場で、ラグビー日本代表(対戦時世界ランキング10位)は、ワールドカップ前最後のテストマッチで、2015年ワールドカップで勝利した南アフリカ代表(同5位)と対戦し、7-41で敗戦しました。

大畑 僕が知る限り日本代表が対戦した相手では最高レベルだと思います。最高のメンバーで、この時期、ワールドカップを開催したら、南アフリカ代表が優勝するのではという勢いのあるチームでした。日本代表は負けましたが、ある程度、自分たちがやろうとしていたことが手応えとして掴めたし、わかりやすい課題も出た。収穫と課題が出た、本当にポジティブな敗戦だったと思います。

――南アフリカ代表戦で出た、日本代表の収穫と課題とは?

大畑 収穫はスクラムです。7月末から8月にかけての3連勝して優勝したPNC(パシフィックネーションズ・カップ)からワールドカップに向けて、スクラムは押された場面もありましたけどマイボールに関してはしっかり供給できていた。もう1つはディフェンスです。ワールドカップで戦う相手はヨーロッパの大柄な選手たちが多いですが、南アフリカ代表以上に強いFWと戦うことはないと思うので、ボールが動き出してからのディフェンスはしっかりと機能したと思います。終盤ちょっと押し込まれる場合もありましたが、ほぼチームとして自分たちでやろうとしていたディフェンスはできたと感じます。

課題は、ずっと懸念されていた部分ですが、キックのボールに対しての対応です。どうしても日本代表の選手たちはあまり上背がない。ワールドカップで対戦するヨーロッパのチームは、確実にそういったところをついてくると思うので、どのように対処するのか。またマイボールを蹴ったとしてもいかに確保するのか。もしボールが取れないならば、取られた後にしっかりと体を当てにいくとかスペース埋めにいくとか、そういうところの部分を修正しないといけないというのがすごく明確に見えた。逆に言えば、ワールドカップではそこを攻めてくると思うので、しっかり修正できれば相手チームからすれば攻め所がなくなってくる。そういった部分ではしっかりと明確な収穫と課題が出たのかなと感じます。

――ワールドカップまであと2週間という時期に、優勝経験のある世界的強豪・南アフリカ代表と対戦した意義は?

大畑 あれ以上のプレッシャーかかるゲームはないと思うので、ケガ人が出るというリスクも当然ありました。でも、それ以上に自分たちがワールドカップで戦っていく上で、ベスト8以上という大きな目標があるので、やはり強豪国と対戦して自分たちの中での手応えや、世界のトップを目指すチームがどこにあるのかということを感じることによって、さらに心と体の準備を進めることができた。そういったところがしっかりできたと思います。

――南アフリカ代表戦の敗戦を踏まえて、ワールドカップで日本代表はどのように戦うべきだと思いますか?

大畑 南アフリカ代表戦で出た課題は修正できると思いますね。絶対的にどうにもならないような試合ではなかったですし、日本代表の選手たちは自分たちの中でも一定の手応えを掴んだ敗戦になったと思います。だからこそ、今までやってきたことをやればいいと思います。まず、しっかりと賢く戦うことがまず重要です。スクラムは手応えをつかめていると思いますし、ラインアウトは、少し乱れたところがありますが、本番までにしっかり修正する。あとは反則をしないこと、エリアを取るために、キックもうまく織り交ぜながら戦うことも必要になってきますよね。

――前回大会の日本代表は、3勝を挙げましたが、勝ち点で下回り、決勝トーナメントに進出できませんでした。

大畑 前回大会の反省を踏まえて今の日本代表はあると思うので、頭の中ではワールドカップの戦い方がしっかりイメージできるようなチームになっていると思います。前回大会は、FB五郎丸歩という素晴らしいキッカーがいて、得点力で相手を上回ることができて勝利を重ねて3勝1敗でしたが、結局、ポイント(勝ち点)差で決勝トーナメントにいけなかったのも事実です。そこからステップアップするという意味では、ジェイミー・ジョセフ体制でトライが取れるラグビーしていきましょうということになった。この4年間、オールブラックス(ニュージーランド代表)にも、ワラビーズ(オーストラリア代表)に対しても、得点を取れるチームになったと思います。当然、ワールドカップでは負けたとしても敗戦の中でポイントを取ることが重要になってくるので、一つ一つの勝った負けたではなくて、勝ち方、負け方ということも考えていかなきゃいけない。

――大畑さんは、1999年、2003年とワールドカップに出場しています。やはりワールドカップは選手にとって普段のテストマッチとは違いますか?

大畑 特別ですね! いくら、大会前の3年半のコンディションが良かったとしても、結局、2007年の僕みたいに、ワールドカップ直前でケガして出られないこともあったりします。自分のコンディションも含めて、本当にすべてのものが合わないと出場できないのかワールドカップです。選手にとって一生に一度、本当にすべて賭けて戦える場所です。その戦える場所に対して多くの人の思いが背負えるのもワールドカップなので、やっぱり最高の舞台ですよね。

――日本代表のOBとして、どうしたら自国開催のプレッシャーをはねのけることができると思いますか?

大畑 僕は日本で開催したワールドカップに出ていないので語れません。まして僕らの時は一つ勝つために必死になって戦っていました。でも今の選手たちはそれ以上の、ベスト8以上というところのイメージを持って戦っていますし、自国開催の大会なので、勝たなきゃいけない。これほどの大きなプレッシャーはないし、このプレッシャーを感じている選手たちに対して、それを経験したことない人間が語ることなんてできない。ワールドカップに日本代表として選手としてプレーした時に、僕らなりに声援をもらって、それを一番力に変えてプレーしていたと思うので、今の日本代表の選手たちにも周りの人たちの声援や応援を力に変えて頑張ってほしいなと思います。