RWC2019

[ラグビー講座] キャップこそ、ラガーマンの勲章だ! - 代表チームでの試合出場数=「キャップ」について

Lecture on Rugby - ラグビー講座 第4回
2019.9.14 22:58
[写真]キャップ授与式のアマナキ・レレイ・マフィと稲垣啓太

サッカーの各国代表選手を紹介する場合、国際Aマッチに何試合出場しているかは大きな要素の一つだが、ラグビーも同様。ただし、ラグビーにおいてはナショナルチーム同士のテストマッチ(国際試合)の出場数は「キャップ」を単位として数えている。

 ラグビー日本代表選手のプロフィールが紹介される際、決まって目にするのが「キャップ」というワードではないだろうか。この言葉には代表チームにおける試合出場数が示されており、「1キャップ」は国際試合やテストマッチに「1試合出場」したことを意味している。

 この数字は選手個人の国際経験の豊かさを表しており、チームの総キャップ数(15人のキャップ数の合計)は、そのチームの経験値の高さを表わすことになる。チーム作りに際し、前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏が「チームの総キャップ数」を重視していたことは有名な話だ。

「ワールドカップで優勝するチームは先発15人の総キャップ数が600前後。1人平均40キャップほど。それだけの国際試合の経験値が必要になる」
 
 選手にとっては誇りであり憧れでもあるキャップの数は、指揮官にとってもチームを編成し、試合や大会を進めていく上で重視すべきポイントの一つなのである。
 
 この「キャップ」という言葉は、国際試合に出場した証として各国のラグビー協会が帽子(キャップ)を選手に贈呈したことから出場試合数として使われるようになった。

 日本では、1982年12月に日本ラグビー協会によりキャップ制度が設けられ、翌年1月に初めて選手にキャップが贈呈されている。第1回の該当選手は254人。同協会が定めた最初の対象試合は1930年にバンクーバーで開催されたブリティッシュ・コロンビア戦だと言うから、これだけの人数になるのもうなずける。

 以降は授与式などで国際試合に初出場した選手にキャップを授ける形をとっており、授与後は5キャップを重ねるごとに選手個々に星型のワッペンが贈られる。

 キャップを製作するのは東京・銀座の株式会社天賞堂。受注から完成までに4、5カ月を要するといい、キャップの後ろに通し番号を刻んで納品するという。
 
 現在までにラグビー日本代表のキャップ保持者は660人を超える。その中において、最年少でキャップを手にしたのは藤田慶和(パナソニック ワイルドナイツ)。日本代表の最年少出場記録を18歳7カ月27日で更新している。

 一方、最多キャップ数を保持するのは大野均(東芝ブレイブルーパス)だ。2位の小野澤宏時(サントリーサンゴリアス)に17試合もの差をつける98キャップをマークしている。

 日本代表の出場試合数を述べるにあたり、最多キャップ数を誇る大野に触れないわけにはいかない。大野は福島県郡山市出身。高校まで野球を続けており、ラグビーを始めたのはなんと大学生になってから。地元にキャンパスがある日本大学工学部に進学した彼は、190センチを超える恵まれた体格を見込まれ、ラグビー部から熱心に勧誘を受けたという。もっとも、このラグビー部は日本大学の体育会系のラグビー部ではなく、あくまで学部のラグビー部。部員は15人そろえるのもやっとで、3年のときには東北リーグの2部に降格するなど、全国的にはまったく注目度の高くないチームに所属していた。

[写真]歴代最多キャップ保持者である大野均はラグビー界のまさに鉄人だ

 
 転機は国体に向けた福島県選抜に入ってからだ。体の大きさや走力が東芝関係者に高く評価され、無名の大学生は卒業後に日本ラグビー界の名門に加入することになる。入部当初こそ出場機会が限られていたものの、強豪チームの中で練習を積み重ねた大野は、名実ともに日本を代表するロックの一人へと成長していく。2004年5月の韓国戦で初キャップを獲得すると、以降2007年、2011年、2015年のW杯に出場。積み重ねたキャップ数は先述のとおり日本代表の中で最多となる「98」。今年41歳となったレジェンドは、豊富な国際経験とその実力を武器に今日もグラウンドを疾走する。

文=磯田智見 Text by Tomomi ISODA
写真=ゲッティ イメージズ、アフロ Photo by Getty Images, AFLO

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