RWC2019

[ラグビー講座] ONE TEAM 最高の仲間のために - ラグビーの「代表資格規定」について

Lecture on Rugby - ラグビー講座 第3回
2019.9.13 17:40
[写真]ラグビーでは、その国の国籍を持たずとも“代表の一員”として戦うことができるという特有のルールがある

なぜ、日本代表チームなのに外国籍選手が選ばれているの? 帰化しているから? 
それとも何らかの特例があるから? 海外の代表チームは一体どうなっているの? 
そういった素朴な疑問にお答えしましょう!

2015年から早いもので4年が経とうとしている。とはいえ、どれだけ月日が流れても、南アフリカ戦のクライマックスの記憶はいつだって鮮明だ。
 
 攻撃的な姿勢で臨んだラストワンプレー。日本は右サイドからスピーディーなテンポでボールをつなぎ、最後はアマナキ・レレイ・マフィのパスを受けたカーン・ヘスケスが豪快に左隅に飛び込む。南アフリカから大金星を挙げることにつながるこの一連のプレーは、これから先もずっと語り継がれていくことだろう。

 日本中に興奮をもたらし、世界中に衝撃を与えた南アフリカ戦後、五郎丸歩はツイッターでこう発信している。「ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ。」(原文のまま)

 国籍は違うが日本を背負っている—南アフリカ戦のクライマックスを演出した2人もまさにこれに該当する。ラストパスを投じたマフィはトンガ国籍であり、逆転のトライを決めたヘスケスはニュージーランド国籍なのだ。

 一体どのような規定のもとで、外国籍選手たちは桜のジャージを着ているのだろうか? この疑問に迫りながら、ラグビーの代表チームと外国籍選手の関係性について触れていこう。

 多くの方が認識しているだろうが、野球やサッカーの国際大会、そしてオリンピックのような世界的な祭典に日本代表として出場する場合、選手には日本国籍が必要だ。

 一方でラグビーは、国籍の有無を問わず国の代表選手になることができるという特有のルールを持ったスポーツである。「他国での代表歴がないこと」という条件を前提に、次の4項目のうち1項目でも当てはまれば、資格を得ることができるのだ。

(1)本人がその国で生まれた
(2)両親または祖父母のうち1人がその国で生まれた
(3)直前の3年間に継続して居住  ※居住期間は、2020年12月末から5年間に延長される。
(4)通算10年間の居住 

 つまり、日本の国籍がなくても、「自身が日本で生まれた」、「両親または祖父母のうち1人が日本で生まれた」、「直近3年間、日本で暮らした」、「累積10年間、日本で暮らした」という条件のいずれかを満たしていれば、日本代表に選ばれる可能性を手にすることができるのである。
 
 日本代表には外国籍選手の人数が多い印象があるかもしれないが、当然のことながら彼らを代表チームに招集することができるのは日本だけに与えられた特例ではなく、国際的に統一されたルールである。

 前回のW杯のときには各国31人の選手が登録される中、外国籍選手のエントリー数はサモアが13人、ウェールズ、トンガ、スコットランドが12人、日本が11人、フランスが10人という順になっていた。日本は5番目にランクインしているものの、他国と比べてその
数が突出して多いというわけではなさそうだ。
 
 日本は、1987年にニュージーランドで開催された第1回W杯から外国籍選手を積極起用してきた過去があり、これまでにも数々の選手が日本を背負って戦ってきた。

 もっとも、選手たちはどこかの国の代表選手になると、別の国の一員として国際舞台に立つことはできないというルールにも直面する。つまり、ある外国籍選手が日本代表になる決断をすると、彼が母国の代表チームのジャージを身にまとう機会は消滅してしまうというわけだ。

「彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ」

 五郎丸のツイートがどこか熱が帯びているように感じるのは、そのような背景もあるからなのだろう。
 
 間もなく開幕するW杯の日本代表にも複数の外国籍選手が招集された。その多くは頭を悩ませ、大きな葛藤の中で日本代表を選んでくれた選手たちだ。彼らに感謝やリスペクトの気持ちを込めながら、盛大なエールを送ろうではないか。

文=磯田智見 Text by Tomomi ISODA 
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

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