RWC2019

日本代表、南アフリカに7-41で敗戦もW杯に向けてスクラムで収穫あり

2019.9.6 23:48

ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会の開幕まであと2週間となった9月6日(金)、世界ランキング10位の日本代表は、優勝候補の一角である南アフリカ(同5位)を迎え、大会前最後のテストマッチに臨んだ。会場となった熊谷ラグビー場には22258人のファンが詰めかけた。

南アフリカとの対戦は、日本代表が前回W杯の開幕戦で歴史的勝利を果たして以来2度目。双方その試合に出場していたメンバーが一部揃う中、お互いフォーカスしているのはあくまで本番。今回の対戦はそのシミュレーションの意味合いが強い試合となったが、それだけにほぼベストメンバー同士の対戦が実現したと言えよう。

日本代表はキャプテンのFLリーチ マイケルをはじめ、PR稲垣啓太、LOトンプソン ルーク、NO8アマナキ・レレィ・マフィ、SO田村優、WTB松島幸太朗といった前回の対戦を経験しているメンバーが並んだ。またPR具智元&中島イシレリがケガから復帰しそれぞれ先発、リザーブに入ったほか、HO北出卓也がリザーブから初キャップの瞬間を待った。WTBアタアタ・モエアキオラもアジア以外のチームとは初対戦となった。

日本代表のジェイミー・ジョセフHCは、「有意義なテストマッチになる。ティア2のチームに対してはいいパフォーマンスができたが次はステップアップになる。選手たちには期待している。まさに必要な試合」とこの試合を位置付けた。FLリーチは「この試合はワールドカップ以上におもしろくなる。勝てば(大会中の対戦)相手にプレッシャーをかけられる。いい準備ができている」と自信をのぞかせた。

南アフリカも世界的なメンバーをずらりと揃えた。負傷から復帰しワールドカップに間に合ったキャプテンのFLシヤ・コリシ、そしてPRテンダイ・ムタワリラ、LOエベン・エツベス、この試合が50キャップ目となったFLピーターステフ・デュトイ、FLフランソワ・ロウ、SOハンドレ・ポラード、CTBジェシー・クリエルといった前回対戦経験者が並んだ。さらに、この4年で世界最高の2番のひとりとされるまでに成長したHOマルコム・マークス、さらに実績のあるCTBダミアン・デアリエンディ、FBウィリー・ルルーら大会後に日本でプレーする名手たちも名を連ねた。

キックオフ早々、日本代表は前半4分にWTB福岡堅樹が負傷で退くアクシデントに見舞われ、代わりにティア1初対戦のWTBアタアタ・モエアキオラが入る。

その後は相手の圧力を受け続け、前半7分に南アフリカWTBチェスリン・コルベに先制トライを許す。SOポラードのゴールも成功し0-7とされると、前半22分には日本代表SO田村のハイパントを南アフリカFBウィリー・ルルーがクリーンキャッチ。そこからWTBマカゾレ・マピンピに独走トライを決められ0-14とされる。31分にもWTBマピンピに連続トライを許し0-19となり、前半終了間際の39分にSOポラードにPGを決められ0-22とされたところでハーフタイムを迎えた。

日本代表もたびたび相手ゴール手前まで攻め込みながらミスやペナルティでトライを決めきれない展開が続いていた。後半はビハインドを抱える中そうしたチャンスを作り、ものにできるかがポイントとなった。

後半に入り、9分には早速ゴール前まで攻め入った日本代表だがノットリリースザボールでまたもチャンスを逸すると、13分には南アフリカWTBマピンピにハットトリックとなるトライを決められて0-27と、さらにリードを広げられる。

しかし20分、日本代表は相手ボールのラインアウトからボールキャリアに対してディフェンスでプレッシャーをかけ、やや乱れたパスをCTBラファエレ ティモシーがタップパス。そのパスをキャッチしたWTBモエアキオラが右大外のWTB松島にパスすると、そのままWTB松島がインゴールまで50mほどを走り切りトライ。SO田村のゴール成功で7-27と点差を詰める。

後半32分には南アフリカFLローがシンビン(10分間の一時的退出)となり、日本代表としては数的有利を生かしたいところだった。だが、直後の33分、敵陣まで攻めながらSO田村のパスが南アフリカWTBコルベにインターセプトされ独走トライを決められると、39分にもミスをつかれて、途中出場のSHハーシェル・ヤンチースに独走トライを許し、7-41という最終スコアで敗れた。

日本代表も1トライを決め無得点は免れたものの、自らのミスなどでチャンスを活かしきれず課題が見えた敗戦となった。

日本代表のジョセフHC(ヘッドコーチ)は試合後の会見でこのように語り、ミスに言及しながらもスクラムに成果を見出していた。

「今日の選手たちのパフォーマンス、非常に誇らしく思います。非常に強豪の南アフリカに対してスコアに持って行けるチャンスを作りましたが、自分たちのミスで相手に逆にやられてしまいました。今回はW杯の準備のために非常に必要な試合でした。

今回、セットピースこだわってやってきたが、スクラムが非常に上手く機能していました。南アの強いストロングパックに対していいスクラムを組めていたのは長谷川慎コーチのこれまでの献身的なコーチングのおかげだと思います」

また、キャプテンのFLリーチ マイケルは、

「今年を振り返ると、PNC(パシフィック・ネーションズカップ)からスタートして、徐々にステップアップしてきて、最後にティア1のとても強い国と対戦して、自分たちが何をやらないかはっきりわかってきました。

負けてしまいましたが、これで、自分たちで何をやらないといけないか、自信が少し下がる中これから(W杯開幕までの)2週間の中で、どうやって自信を乗り戻すかが大事になってきます。その時間は十分あります」

と、開幕に向けてあくまで前向きに語った。

日本代表は引き続き都内での合宿を経て、2週間後の9月20日(金)にラグビーW杯開幕戦、ロシア戦を迎える。残りわずかの期間で課題を修正し、本番に向けて着々と準備を進めていく。(齋藤龍太郎)

 

◇WTB松島が鮮やかな快走! 日本代表唯一のトライも敗戦に反省の弁

何度も攻め込んだ日本代表だが、トライは後半20分のWTB松島幸太朗のトライのみだった。CTB中村亮土が前に出るタックルで相手のミスを誘って、CTBラファエレ ティモシー、途中出場のWTBアタアタ・モエアキオラ、最後はWTB松島にわたり、松島が50mを走りきって取り切った。「みんなのいいディフェンスのプレッシャーから、素早くアタックに切り替えることができました」(松島)

ただリーダーグループのひとりの松島は「自分たちのミスから、リズムが取り返せなかったことが敗因だと思います。今日そういう試合をワールドカップ前に出来たことはよかったですが、勝利を届けられなかったのは残念です」と肩を落とした。

敗因は、やはり南アフリカ代表にキックを上手く使って相手陣での戦いを強いられて、ディフェンスでプレッシャーをかけられたことが大きかった。

W杯後はトヨタ自動車でプレーするFBウィリー・ルルーは「今週キッキングゲームの準備をしてきた。というのもこの天候なのでおそらくボールが滑ると予想していたからです。試合に入って実際にその通りだったし、日本もキックを使ってプレッシャーをかけてきました。その成果が今日はパーフェクトに出たとは思いますが、もっと良くなるように継続していこうと思います」と胸を張った。

またゲームコントロールが冴えたSHファフ・デクラークはW杯初戦・ニュージーランド戦に向けて「アンストラクチャーが好きなので、そうさせないようにコンテストゲームに持ち込みたい。おそらくオールブラックスはターンオーバーから点をとってこようとするだろうが、こちらはリアクションを早くして、自分たちの強みのフィジカルな戦いをしたい」と意気込んだ。(野辺優子)

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。