RWC2019

日本代表、アメリカから4トライ! 34-20で勝利しPNC8年ぶりの優勝

2019.8.10 16:48

8月10日(土)、PNC(パシフィック・ネーションズカップ)2019はいよいよ最終週となる3週目を迎えた。

釜石でフィジーに34-21、花園でトンガに41-7と続けて快勝し勝ち点で首位に立った日本代表は、同じく2連勝で勝ち点9の2位アメリカと、フィジー・スヴァのANZスタジアムで同大会優勝を懸けて対戦した。

国内で2試合を行った日本代表にとっては、9月2日のワールドカップメンバー登録締切前最後のテストマッチとなった。このアメリカ戦で今年の代表戦初先発初出場を果たしたNO8ツイ ヘンドリック、SH田中史朗、FB山中亮平、そしてリザーブに今回のフィジー遠征で招集されたPR山本幸輝が入り、代表残留へ最後のアピールに臨んだ。

その他、キャプテンのFLリーチ マイケルをはじめ、PR稲垣啓太、HO堀江翔太、SO田村優、WTB福岡堅樹&松島幸太朗といった経験のあるメンバーも多数先発。CTBラファエレ ティモシーは13番から12番に、CTBウィリアム・トゥポウはFBからCTBに入り、8年ぶりのPNC優勝を目指した。

対するアメリカ代表は、かつて神戸製鋼を指揮し日本代表のFB山中を指導したギャリー・ゴールドHCが昨年就任してから強化が進み、昨年はスコットランドを撃破するなど急成長を遂げているチームだ。今回のPNCの連勝で世界ランキングは13位に上昇し、11位の日本に肉薄している。

戦力も充実している。メンバー最多の48キャップを誇るキャプテンのWTBブレイン・スカリー(無所属)をはじめ、英・プレミアシップで活躍するLOグレッグ・ピーターソン(ニューカッスル・ファルコンズ)、SOのAJ・マクギンティ(セール・シャークス)、NFLの選手でもあったCTBポール・ラシケ(ハリクインズ)といったメンバーが揃った。

前半、先制したのは日本代表だった。キックオフから間もない3分、敵陣5mラインでのマイボールラインアウトからモールで押し込むと、家族が見守る中でFLリーチがトライ。SO田村のキックも成功し7-0とする。

9分にもSO田村のPG成功で10-0とした日本代表は、直後の11分、自陣からアタックを仕掛け細かくパスをつなぎ、大外のWTB松島が内側のWTB福岡にパスが渡ると、WTB福岡が一気に加速し敵陣を駆け抜けてトライ。17-0とさらにリードを広げる。

その後、ミスやペナルティが増えた日本代表は主導権を渡してしまう。前半16分にはアメリカWTBマディソン・ヒューズにトライを許し(17-7)、29分にはアメリカFBウィル・ホーリーにPGを決められ17-10と7点差に迫られた日本代表。前半終了間際の39分にSO田村が再びPGを決めた後(20-10)、40分にはアメリカFBホーリーのPG成功で20-13とされ、わずか7点差でハーフタイムを迎える。

特に前半終盤はペナルティが多発し規律の面で乱れがあった日本代表としては、後半からの立て直しが欠かせない状況となっていた。

後半、開始早々の2分に日本代表は早速敵陣でフェーズを重ねてトライチャンスを作り出すと、ゴール前のラックからSH田村、SO田村、そして後方から走り込んできたFB山中にラストパスが渡り、そのままFB山中がインゴールに飛び込んでトライ。27-13とアメリカを突き放す。

さらに後半15分、今度は自陣22mライン付近から仕掛けた日本代表は、WTB福岡の前進を起点にFB山中がボールを拾い上げてビッグゲイン。追走していた途中出場のSH流大にパスが渡ると、HO堀江、FLリーチとパスをつないでトライ。FLリーチのこの試合2本目のトライで、日本代表は34-13とさらにリードを広げる。

後半31分には自陣でのマイボールスクラムからアメリカにプレッシャーをかけられ、アメリカFLハンコ・ハーミシャイズにトライを許し34-20とされた日本代表。その後も自陣で防戦一方となったもののそのまま逃げ切り、日本代表が34-20でアメリカに勝利した。

日本代表はPNC3連勝、それも3戦続けてボーナスポイント(4トライ以上)を獲得したことで総勝ち点を15とし、PNCで8年ぶりの王座に輝いた。規律の面やスクラムなど課題は残したものの、フィジー戦、トンガ戦を含め強化が順調に進んでいることを世界に示した形となった。

日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は試合後、このようにコメントした。

「誇らしいパフォーマンスを見せてくれた。11年以来のPNC、2回しか優勝していないが、今回優勝できて選手の努力、結果に満足している。アメリカはいいプレーで自分たちがプレッシャーかけられてしまい、日本もベストパフォーマンスではなかったが、これが大会がもたらすこと。W杯へいい予行演習になった」

また、日本代表のキャプテン、FLリーチ マイケルは、

「今週の準備は飛行機での移動を挟んでちょっとイレギュラーだった。プレパレーション(準備)は悪くなかったが、中盤のディシプリン(規律)に問題があったと思う」

と、試合中盤にペナルティが相次いだことを反省した。また、自身の2トライについては、

「チームのトライで、最後フィニッシュしただけなので僕が特別やったことではない。(後半16分のつないで取ったトライは)練習通り。春からオフロード(パスでつなぐ練習)をやってきて、コースやボールの持ち方など練習の成果が出たと思う」

と、チームとしての練習の成果であることを強調した。しかし表情を緩めることなく、

「アメリカはフィジカルが強いチームで、ロシア、アイルランドと似ているので、(ワールドカップでは)今日みたいな試合をすると負ける。もう一回ディシプリンの部分を見直していいを準備したい」

と9月の本番にに向けてさらに気を引き締めた。

PNCで課題と収穫の両方を手にした日本代表は、8月18日から始まる網走合宿を経て、8月末に予定されているワールドカップのメンバー発表、そして9月6日(金)の南アフリカ戦(熊谷ラグビー場)を経て、9月20日(金)のラ

グビーワールドカップ開幕戦を迎えることとなる。

◇FB山中亮平、トライにつながるランやセービングで最後のアピール!

今年のPNCで待望の初出場、それも15番で先発となったFB山中亮平。今年のサンウルブズでの活躍で評価を高め、昨秋のニュージーランド戦以来の代表戦出場を果たした。

前半、相手のハイボール処理でノックオンをするなどミスも見られたものの、その直後に素早い反応でこぼれ球をセービングしマイボールにしたり、後半15分にはFLリーチのトライにつながるビッグゲインでチャンスを作り出した。後半18分でピッチを後にしたものの、全体的にはアピールにつながる活躍を見せた。

試合後、FB山中はワールドカップに向けて強い意欲を示した。

「前半は緊張してしまい、硬い部分もあってミスも出てしまったが、後半はいい入りができて自分としては良かった。(トライは)今週ずっと準備してきたことで、優(SO田村)とコネクトしてずっとやってきたのがトライにつながった。日本で開催される大会なので出たい。頑張っていきたい」

日本代表ジェイミー・ジョセフHCはもちろん、かつて薫陶を受けたアメリカ代表ゴールドHCの前でも勇姿を見せ恩返ししたFB山中。あとは運命のメンバー発表を待つのみだ。

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。