RWC2019

日本代表、世界9位フィジーから5トライを奪い34-21で快勝!PNC開幕戦を白星で飾る

2019.7.27 21:30

日本代表にとって9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)に向けて大きなステップとなる、環太平洋の国々による国際大会「ワールドラグビー パシフィック・ネーションズカップ2019(以下PNC)」がいよいよ幕を開けた。

AとB、2つのプールに分けられている同大会、プールAの日本代表はフィジー、トンガ、アメリカと対戦する。7月27日(土)の初戦は、世界ランキング9位とPNCの中では最強のフィジーとの一戦。同11位、フィジーとの対戦成績3勝14敗の日本代表にとって格上のチームと相見えるということで、W杯に向けて絶好の腕試しの機会となった。

6月から宮崎や盛岡で個としても組織としてもしっかり仕上げてきた日本代表は、この試合が初キャップとなるFLピーター・ラブスカフニがゲームキャプテンを拝命。そして主軸には経験と実績のあるPR稲垣啓太、HO堀江翔太、LOトンプソン ルーク、NO8アマナキ・レレィ・マフィ、SO田村優、WTB福岡堅樹&松島幸太朗といったメンバーが並び、熾烈な争いが繰り広げられていた9番はSH茂野海人がつかみ取った。

なお、LOジェームス・ムーアは先発で代表デビューとなり、PR木津悠輔がリザーブから初キャップの瞬間を待った。こうした新たなメンバーの活躍にも期待が集まった。

対するフィジーは、昨年11月にフランスから初勝利を挙げ、今年7月にはマオリ・オールブラックスを62年ぶりに破るなど(2戦で1勝1敗)、W杯本番に向けて好調を維持。今回のメンバーも、キャプテンのFLドミニコ・ワンガニンプロトゥをはじめLOレオネ・ナカラワ、SOベン・ボラボラ、WTBフィリポ・ナコシといった欧州のトップチームでも活躍中の名手たちが並んだ。本番を見据えた世界的プレーヤーが揃う“フライング・フィジアンズ”に対し、3年前にフランスの地で敗れた日本代表がどこまで戦えるかがこの試合のポイントとなった。

先手を取ったのは日本代表だった。フィジーのノットロールアウェイのペナルティから、前半3分に日本代表SO田村優がPGを決めて3-0とする。

さらに前半8分、日本代表は敵陣5mラインでのラインアウトからモールで押し込みアドバンテージをもらい、ラックからSH茂野のパスを受けたSO田村がキックパス。そのボールにWTB福岡が反応しインゴールで押さえてトライ(8-0)。

前半12分、カウンターからフィジーCTBレバニ・ボティアに1トライを返され8-7と1点差に迫られた日本代表だが、19分、敵陣5mラインでのスクラムから展開し、SH茂野のパスを受けたWTB松島がゴール下に飛び込んでトライ。SO田村もゴールを決めて15-7とリードを広げる。

ファンの応援を受けて日本代表の勢いは止まらない。直後の前半23分、自陣のマイボールラインアウトからHO堀江のスローイングをWTB松島が直接キャッチしアタック。フェーズを重ねて敵陣深い位置までゲインすると、SO田村のロングパスを受けたNO8マフィが前進しHO堀江にオフロードパス。そこからWTB松島、CTBティモシー・ラファエレとパスがつないで、そのままラファエレがトライ。スコアは22-7となる。

さらに前半28分、フィジーWTBナコシがシンビン(10分間の一時的退出)で日本代表に数的優位の状況ができると、31分、敵陣5mラインでのマイボールラインアウトからモールで押し込み、最後は、今日が25歳の誕生日だったFL姫野和樹がサイドを突いてトライ。日本代表は29-7とさらにリードを広げる。

前半終了間際の39分にフィジーHOサム・マタベシにモールから2トライ目を取られたものの、日本代表は29-14と15点リードして試合を折り返した。

後半も日本代表が先制に成功する。15分、敵陣でのマイボールスクラムを起点に日本代表が攻める過程でターンオーバーされたが、その直後にCTBラファエレが前に出てタックルし、そのこぼれ球をWTB松島が見逃さず前方に蹴り込む。そのままインゴールまでドリブルしながら押さえてトライを決め、34-14とついに20点差に広げる。

しかし後半21分にフィジーHOマタベシに再びモールからトライを決められ、スコアは34-21に。日本代表はその後、敵陣までいい形で攻めてはペナルティを犯すなど追加点を得ることはできなかったが、そのままノーサイド。日本代表は計5トライを決めて34-21で3トライのフィジーに快勝した。チーム内のMVPにはPR稲垣啓太が選出された。

日本代表のフィジー戦勝利は2011年7月のPNC以来、実に8年ぶり。通算対戦成績を4勝14敗とした。

日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、試合をこのように評し選手たちを称えた。

「釜石のファンの皆さんに応援に来ていただいて嬉しい。また、勝てて嬉しい。選手は気合のあった80分間を見せてくれた。前半、早い段階でゲームキャプテンが離脱してしまったが、その中でもタフな試合をリーダー陣が引っ張ってくれたことは、リーダー陣が非常に成長している証だ。

あくまでも3戦のうちの初戦だが、勝利を収めることができ、久しぶりのテストマッチにも関わらず、このような内容だったので、今日はビールを飲んでお酒でこの勝利を祝いたい。次の試合については月曜日から改めて取り組んでいきたい」

負傷により途中交替したものの、この試合が記念すべき初キャップとなったFLラブスカフニも、

「ファンの皆さんにまず感謝している。皆さんの前でプレーできることが楽しみだった。少しミスもあったが、選手は楽しんでできたし、この先に向けて第1歩を踏むことができた。スピード上げて早い展開を心がけたが、前半はそれがうまく機能した。後半はちょっとボールが滑るところもあったが、そこは検証して次に繋げていきたい。今は少しこの勝利を喜んで、月曜日にまたトンガ戦に向けてやっていきたい」

と手応えを感じつつ、反省点も見出しながら次のトンガ戦を見据えた。

敗れたフィジーのジョン・マッキーHCは、

「来る前からハードな試合になることは予想していたが、日本が最初から非常に良かった。結果的に我々が危機的な状況にさらされ、プレッシャーを受けてしまった」

と唇を噛むと、キャプテンのFLワンガニンプロトゥは、

「日本が素晴らしかった。ゲームの入りから日本は自分たちのゲームをしていて、私たちも前半に取り戻そうとしたのだが、日本が素晴らしかった」

と称賛し、完敗を認めた。

PNCで見事な白星スタートを切った日本代表。8月3日(土)の第2戦は東大阪市花園ラグビー場にトンガ代表を迎える。大きくフィジカルの強い相手に対して、再び、力強いジャパンを見せて連勝といきたいところだ。

◇FLリーチ マイケルが実戦復帰!キャプテンシーを発揮し勝利に導く

今年初めに恥骨炎の影響で調整が大幅に出遅れ、宮崎合宿の途中から本格的に練習を開始したばかりのFLリーチ マイケルが、昨年11月以来8か月ぶりに実戦復帰を果たした。一時は復帰そのものが不安視されていたが、このフィジー戦で万全の状態に戻ったことをアピールした。

「月曜(7月22日)に『後半から行くよ』と言われました。個人的にもそれがベストだと思っていました。本当は早く出たかったです。体力面はまあまあでしたが、タックルはミスが出ました」

復帰を待てなかった気持ち、プレーしてみての実感を話したリーチは、この試合の成果としてリーチを含むリーダー陣の「リーダーシップ」を強調した。

「宮崎合宿の成果がかなり出たと思います。チームとしてどこが一番成長したかというと、後半21分に(13点差にされて)どちらに転ぶかわからない状況になった時、リーダー陣が固まってチームの方向性をしっかり決めることができたのです。今までの日本代表はそういうところで集中が切れて点を取られていた。今日はそこが良かったです。自分が指示を出した時もあれば、優(SO田村)と亮土(CTB中村)が出した指示もありました。今日は2人とも素晴らしかったです」

自身の実戦復帰以上に、チームとしての成長に喜びを感じていた様子のFLリーチ。頼もしいリーダーが満を持してピッチに帰ってきた。

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。