RWC2019

MVPは堀江&松島のみ!トップリーグ個人タイトル&スーパーラグビー歴を紐解く

斉藤健仁の「ジャパンの現在地」第9回
2019.7.12 6:30

 7月末から始まるパシフィック・ネーションズカップ、そして9月20日に開幕するラグビーワールドカップに向けて、ラグビー日本代表は7月8~17日まで、宮崎で3度目の合宿を行っており、日々、激しい練習をしている。

 そんな日本代表メンバー42名全員がトップリーガーである。今年度から東海大から神戸製鋼に入ったWTBアタアタ・モエアキオラ以外の41名は全員がトップリーグの試合を経験している。当然、日本代表選手のため、トップリーグで活躍してきた。それぞれの選手がどんな賞を取っているかまとめておきたい。

 まず個人賞として最も名誉あるリーグのMVPは、当然、優勝したチームからしか選ばれない。また昨年度は神戸製鋼のSOダン・カーターが受賞し、過去にパナソニックのSOベリック・バーンズ、サントリーのFLジョージ・スミスなど世界的スター選手とも争わなければならない。

 そんな栄誉に輝いている日本代表は2人のみ。HO堀江翔太(パナソニック)とWTB/FB松島幸太朗だ。松島は2017年度に受賞し、堀江は何と2010年度、2015年度の2度受賞している。2度の受賞はSOバーンズ、FLスミスと並ぶ快挙である。

 さらに日本代表の登竜門的な位置づけにある新人賞を獲得している選手も多い。2007年度にSH田中史朗(当時は三洋電機=現パナソニック)、2011年度にFLリーチ マイケル(東芝)、2013年度にPR稲垣啓太(パナソニック)、2017年度にFL/No.8姫野和樹(トヨタ自動車)がそれぞれ受賞している。

 2017年度に新人ながらCTBとして「ベスト15」にも輝いたSO/CTB松田力也(パナソニック)、2018年度のCTB梶村祐介(サントリー)も出色の活躍だったが、姫野、WTB岡田優輝(ともにトヨタ自動車)にそれぞれ新人賞を譲った。トライ王に輝いているのは2018年度に8トライを挙げたWTBレメキ ロマノ ラヴァ(Honda)のみだ。

 また各チームの指揮官や記者の投票による「ベスト15」も見てみたい。最も多く受賞しているのがHO堀江で7回、続いてPR稲垣とリーチの6回が続く。稲垣は2013年度のルーキーイヤーから6シーズン連続の受賞中だ。続いて多いのはSH田中の5回、WTB/FB松島の3回である。「ベスト15」の最多受賞者は日本代表でも最多キャップを誇るLO大野均(東芝)の10回であるように、上記の4人は、強豪チームで試合に出続けて活躍していることがよくわかる。

 また、2015年の日本代表チームと違い、2019年の日本代表選手たちは、トップリーグに所属しながらも、42人中5人を除いて全員がスーパーラグビー経験者となったことは大きな違いだ。

 2015年の日本代表スコッド31名で、スーパーラグビーの試合に出ていたのはSH田中(ハイランダーズ)、HO堀江(レベルズ)、FLリーチ(チーフス)、CTB/WTBマレ・サウ(レベルズ)、PR稲垣啓太(レベルズ)、FL/No.8ツイの6人のみだったことを考えると、2015年のチームより、2019年のチームは大きなアドバンテージがあると言えよう。

 現在の日本代表選手42名の中で、スーパーラグビーでの試合に一番多く試合経験を踏んでいたのはLOグラント・ハッティングだった。2位は日本のパイオニアであるSH田中、3位はFLピーター・ラブスカフニ、4位は堀江、5位はリーチとなった。やはりサンウルブズだけでなく、他のスーパーラグビーチームでも試合に出ていた選手が上位にきた。

 ただ、2019年、4年間、スーパーラグビーで戦っていたサンウルブズでもSO田村優、PR三上正貴は4シーズンで33試合に出場するなど国際経験を積んだ。

 ジェイミー・ジョセフHCは日本代表選手たちのコンディションを考えて「年間の試合数を30試合くらいにすべき」と、トップリーグの期間短縮や、今年の1月はリーグを行わないなど配慮してきた。その一方でこの4年間、トップリーガーたちは、トップリーグでプレーするだけでなく、スーパーラグビーという舞台で、より強度の高い練習、試合を通じて、個々を鍛えることができた。

 現在の日本代表は、国際経験という点では確実に2015年を上回る集団となった。2015年のワールドカップでは、エディー・ジョーンズHC(当時)は「堀江とフミ(田中)が思うような活躍をすれば、日本代表はベスト8に入れる」と語っていた。残念ながら準々決勝に進むことができず9位で大会を終えたが、堀江、田中、リーチといったスーパーラグビー組は出色の出来を見せたことは記憶に新しい。

 2019年のワールドカップでもトップリーグだけでなく、サンウルブズでスーパーラグビーの舞台を数多く踏んできた選手は、きっとプレッシャーがかかる中でも活躍し、それが日本代表の勝利につながっていく。

 

◇スーパーラグビー試合出場数トップ15

1位 LOグラント・ハッティング 72試合(うちサンウルブズ17試合)

2位 SH田中史朗 69試合(うちサンウルブズ23試合)

3位 FLピーター・ラブスカフニ 56試合(うちサンウルブズ7試合)

4位 HO堀江翔太 45試合(うちサンウルブズ26試合)

5位 FL/No.8リーチ マイケル 42試合(うちサンウルブズ8試合)

6位 FL/No.8ツイ ヘンドリック 41試合(うちサンウルブズ11試合)

7位 No.8アマナキ・レレィ・マフィ 34試合(うちサンウルブズ3試合)

8位タイ SO田村優 33試合

8位タイ PR三上正貴 33試合

10位 SH茂野海人 29試合

11位 FL/LOヴィンピー・ファンデルヴァルト 28試合(うちサンウルブズ9試合)

12位 CTBウィリアム・トゥポウ 27試合(うちサンウルブズ14試合)

13位 PR稲垣啓太 25試合(うちサンウルブズ24試合)

14位 FL/No.8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコ 24試合

15位 LOウヴェ ヘル 22試合

この記事を書いたひと

斉藤 健仁KENJI SAITO

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365 」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。