RWC2019

「ウルフパック」6トライ! W・フォースに51-38で勝利し3連勝

2019.4.27 19:17

4月27日(土)、RWCTS(ラグビーワールドカップトレーニングスコッド)、NDS(ナショナルデベロップメントスコッド)、サンウルブズから構成される特別チーム「ウルフパック(狼の群)」が今春4戦目に臨み、ハイランダーズB戦、ハリケーンズB戦(2戦目)に続く3連勝を目指した。

相手は2006年から17年までスーパーラグビーに参戦していた、オーストラリア・パースを拠点とするウェスタン・フォース。大型連休初日の小雨の降る中、11,217人(延べ人数)のファンが観戦無料となった秩父宮ラグビー場に詰めかけた。

先週20日(土)に快勝したハリケーンズB戦で先発したHO堀江翔太、SO田村優がサンウルブズに移ったこともあり、この一戦にはHO坂手淳史、SO松田力也、またFB野口竜司ら若手メンバーが先発。ハリケーンズB戦でトライを量産したNo.8アマナキ・レレィ・マフィ、WTBレメキ ロマノ ラヴァも続けて先発し、ゲームキャプテンも引き続きFLピーター・ラブスカフニが務めた。

対するウェスタン・フォースは、サモア代表経験のあるSOのAJ・アラティム(先発・22番)やCTBヘンリー・タエフの2人、リオ五輪でフィジー代表として金メダルを獲得したWTBマスヴェシ・ダクカワらインターナショナルレベルのプレーヤーが名を連ねた。

試合は前半序盤からウルフパックのペースで展開する。前半8分、まずはSO松田がPGを決めて3-0と先制すると、11分にはWTB福岡堅樹のオフロードパスをキャッチしたHO坂手淳史が左隅にトライ。スコアは10-0となる。

続く15分にはNo.8マフィのバックフリップパスを右大外で受け取ったWTBレメキが2試合連続トライを決める。21分にはSO松田が2本目のPGを成功させて、ウルフパックが20-0とリードを広げた。

前半21分と25分、ウェスタン・フォースに連続トライを許したものの(20-10)、28分にはSO松田のPGで23-10に。さらに36分、No.8マフィが2試合連続トライを決めて30-10とウルフパックが再びリードを広げたところで前半終了となった。

後半もウルフパックが先制する。4分、フェーズを重ねて敵陣ゴール前まで攻め込むと、SO松田からラストパスを受けた右WTBレメキがこの試合2本目となるトライ(37-10)。さらに7分、今度は左WTB福岡が敵陣インゴールに転がったボールを押さえてトライを決めて、44-10と大きくリードを広げる。

しかし、オーストラリアのラグビーの一翼を担ってきたウェスタン・フォースも意地を見せる。後半16分、23分、26分と3連続トライを決められ、44-31。一時は最大34点リードしていたウルフパックは一気に13点差まで詰め寄られる。

その悪い流れを断ち切ったのは、後半29分にCTB中村亮土と交代してピッチに立ったばかりのSO山沢拓也だった。ピッチに出て間もない後半32分、相手がこぼしたボールを敵陣へ蹴り込むと、ドリブルするようにさらに蹴り込んで、インゴールで押さえてトライ。51-31とする。

後半44分にはウェスタン・フォースにラストプレーでトライを許したものの、ウルフパックが51-38で勝利し3連勝、通算3勝1敗とした。チームとして6トライを獲得したアタックはもちろんのこと、SO松田のプレースキック成功率100%(9本すべて成功)というキック精度も光った。

試合後の記者会見で、ウルフパックも率いる日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は試合を評価しつつ、とくに後半の失点について課題であると強調した。

「試合の3分の2には非常に満足している。非常に多くのプレッシャーをかけられた。当初、思っていた相手の戦法と違ったので作戦の変更を加えないといけなかった。でもそこに臨機対応してくれたと思う。相手に対してディフェンスで圧力をかけて賢いプレーができて、そのかけたプレッシャーから得点にもつなげられた。

けれども残念なところは、リードして後半を迎えられたが、メンバー変更して若干、自分たちの形が崩れて相手にプレッシャーをかけられてしまい、自分たちのプレーが平凡になってしまったこと。これもいい反省として活かして修正できればと思う。反省点、課題を出して、勝利のために強化を続けていくということだ」

また、ゲームキャプテンのFLラブスカフニも、浮上した課題についてあくまで前向きにとらえた。

「非常に良いスタートを切って、60分間、いいラグビーができた。しかしミスをして相手にモメンタム(勢い)を与えてしまった。課題、反省点が出たということで前向きに捉えている。相手が当初思っていたのとは違ったゲームプランで来たところに、上手く対応できたことも収穫だ」

ウルフパックは10日間ほどのオフを経て、5月7日(火)から19日(日)までオーストラリアに遠征し、12日(日)にはブランビーズBと対戦する。同時期にオーストラリア遠征中で、同日にブランビーズと対戦するサンウルブズと一部メンバーが入れ替わることも予想されるが、いずれにしてもこの2チームを通じて、日本代表候補選手たちがさらに鍛え上げられていきそうだ。

◇プレースキック9本中9本成功! SO松田力也がフル出場で勝利に貢献

先発SO松田力也が80分間フル出場し、プレースキックをすべて決めたほか(9本中9本成功)トライアシストも決めるなど、安定したゲーム運びを見せて勝利に貢献した。

ジョセフHCはSO松田の活躍をこのように評した。

「力也の評価は10点中7点。前半は非常にいいプレーをしていた。彼にはもっともっと、こういう機会を与えていきたい。(サンウルブズSO)田村も昨日の試合(スーパーラグビー第11節ハイランダーズ戦)で強烈なインパクトを与えていた。昨日と今日の試合で主力となる2人の10番の選手を育成できている。タフな環境で育成できていることはワールドカップに向けて重要なことだと思う。

力也は今日もリズム、流れが若干崩れたとき、9番、10番、キャプテンでコントロールしないといけない。戦略的な作戦を立てないといけない、そこを(次の試合まで)1週間半で、そこも修正してほしい」

SO松田自身もたしかな手応えをつかんだようだが、課題を挙げることも忘れなかった。

「久しぶりに10番でプレーさせていただいて、すごく手応えもあります。良い流れのときは良いコントロールができていた。後半、悪い流れのときにどうコントロールするかが(今後の)課題です。キックを裏に入れてプレッシャーをかけ続けて、相手に攻めさせてミスしてそこからアタックすることがプランでしたが、前半、その形ができていたことは良かった。

(9本のプレースキックは)結果的に全部決められたので良かった。キープして、レベルアップしたい。ドロップキックもハイパントキックも練習しないといけないので、プレースキックにそんなに時間を避けることはできないが、それなりに(蹴っていた)。練習ではそんなに調子が良くなかったが、感触的には戻ってきたかなと思う」

日本代表の2番手SOを定位置とせず、目指すはあくまで1番手。引き続きウルフパックで強度の高い試合を積み重ねていけば、いずれはSO田村と本当の意味で10番を争う存在へと成長していくことだろう。

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。