RWC2019

サンウルブズ、レッズに31-34で逆転負け。4トライを挙げるも今季ホーム初勝利ならず

2019.3.16 18:28

3月16日(土)の三菱地所スーパーラグビー2019(以下スーパーラグビー)第5節、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ(以下サンウルブズ)は、同じオーストラリアカンファレンスのレッズを東京・秩父宮ラグビー場に迎えた。今季、日本国内2試合目となるホームゲームには14,764人のファンが詰めかけ、サンウルブズの勝利を待ち望んだ。

試合前には両チームがひとつになり円陣を組んで、3月15日(金)にニュージーランド・クライストチャーチで発生したモスク銃撃事件による数多くの犠牲者を追悼する黙祷が行われた。サンウルブズにもニュージーランド出身者が多数在籍しており、また、レッズにもブラッド・ソーンHC(ヘッドコーチ)以下ニュージーランド人選手が在籍していることから、深い悲しみに包まれた中での試合となった。

サンウルブズは、共同キャプテンのCTBマイケル・リトル、HO坂手淳史、PR山下裕史らが前節に続いて先発。そしてFLベン・ガンターが先発初出場を果たし、念願のスーパーラグビーデビューを果たした。負傷のため長期離脱していたWTBホセア・サウマキも今季初先発での復帰戦となった。さらに、日本代表復帰を目指すNO8アマナキ・レレィ・マフィもリザーブ入りし、昨季レベルズで活躍して以来のスーパーラグビー復帰の瞬間をベンチで待った。

試合を前に、サンウルブズのCTBリトル共同キャプテンは、前節ブルーズ戦の反省を交えながら意気込みを語った。

「先週のブルーズ戦での一番大きな反省は、相手にペナルティを与えすぎた事です。今週我々の取り組まなければいけない事はとてもシンプルです。サンウルブズのシステム・攻撃のスタイルを信じる事。ミスをたくさんしない事。カードをもらわない事。毎週毎週チームは改善しています。チームは自分たちのできる事、やるべき事に集中しています。今週はサンウルブズのラグビーを秩父宮のファンの前で披露したい」

一方のレッズはHOアレックス・マフィ、PRルアーン・スミス、NO8スコット・ヒギンボサム、WTBクリス・フェアウアイ=サウティアなど、トップリーグでのプレー経験があるなじみ深い選手が数多く出場。ブラッド・ソーンHC(ヘッドコーチ)もトップリーグ経験者で、日本のラグビーとゆかりのある人材が揃った。キャプテンのCTBサム・ケレヴィやWTBセファ・ナイヴァルといったオーストラリア代表経験者も名を連ねた。

前半、先に主導権を握ったのはサンウルブズだった。12分、ハーフウェイライン付近でのラックからボールが出ると、CTBリトルがビッグゲイン。追走していたFLダン・プライアーにパスが渡ると、そこからラストパスを受けたSHジェイミー・ブースがトライ。SOヘイデン・パーカーのゴールも決まり、サンウルブズが7-0と先制に成功。

18分にはモールからレッズFLリアム・ライトにトライを許し7-5とされたものの、サンウルブズは23分、敵陣でWTBゲラード・ファンデンヒーファーが相手ディフェンスを引き付けながら右大外にパス。そのボールをキャッチしたNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがトライを決めて、サンウルブズが14-5とリードを広げる。

さらに37分、敵陣22メートル内に入ったサンウルブズは、10フェーズ目のアタックで左タッチライン際のWTBサウマキまでパスでつなぎ、大きくゲイン。パスを受けたFBジェイソン・エメリーからラストパスをもらったFLダン・プライアーがインゴールに飛び込む。スコアは21-5、前半だけで3トライを決めたサンウルブズがリードを16点に広げて試合を折り返した。

後半もこのままトライを量産し、3トライ差以上によるボーナスポイントを狙いたいサンウルブズだったが、ここから開幕から連敗中のレッズの反撃を受ける。後半19分にはHOブレンダン・パエンガ=アモサ、22分にはPRハリー・フーパート、26分にも再びHOパエンガ=アモサにと立て続けにトライを奪われ、10分足らずの間に21-26と一気に逆転されてしまう。

何としてもホームで勝ちたいサンウルブズは後半29分、敵陣でチャンスを迎えると、途中出場でサンウルブズデビューを飾ったNO8マフィがラックから相手ディフェンスに食い込むようにゲインすると、こちらも途中出場のSH内田啓介がインゴールに潜り込んでトライ。28-26と再逆転に成功すると、直後の33分にはSOパーカーが難なくPGを決めて、31-26とリードを広げた。

しかし後半35分、サンウルブズは自陣ゴール前で、SH内田のキックがチャージされ、そのままレッズSHテイト・マクダーモットにトライを許し、31-31の同点に追いつかれる。さらに試合終了間際の40分、サンウルブズのハンドのペナルティからレッズFBハミッシュ・スチュワートにPGを決められてしまい、サンウルブズは土壇場で31-34と勝ち越され、逆転負けを喫した。

惜しくも勝利を逃したサンウルブズではあったが、7点差以内の敗戦で得られるボーナスポイントを獲得し総勝ち点を6に伸ばした。オーストラリアカンファレンスの順位はサンウルブズ4位、レッズ5位と(総勝ち点5)変わらなかった。

サンウルブズのスコット・ハンセンHC代行は、前節に続いてのペナルティの多発について問われると、

「規律というよりもレッズが勢いに乗ったプレーをしてきた、ということです。すごくプレッシャーがかかり、こちらが悪い判断をした場面が多かったです。いい判断もしましたが規律の部分で(徹底できなかったの)も相手の勢いが大きかったと感じています」

と答えたうえで、今後については、

「一貫性が大事。みんな頑張っているが頑張りすぎるところがあり、入らなくてもいいラックに入るなどしてみんな疲れてしまった結果、悪い判断をしてしまいました。姿勢はもちろんですが、もっと頭を使ってプレーすることが大事だと思います。ディテールにも集中し周りの選手たちを信じ合って、15人でプレーすればいい結果が出る」

とコメントした。

今季初勝利のレッズのソーンHCは安堵の表情で試合をこのように振り返った。

「非常に大変な試合でした。前半は特にハードで、リズムがありませんでした。サンウルブズが最初から全力をぶつけてきて我々にプレッシャーをかけてきました。ハーフタイムを上手く使い、もう一度一致団結した結果、後半から徐々にではありますが改善できた。いろいろなことの積み重ねでゲームを少しずついい方向に変えてくれた」

一時は16点リードしたものの、後半に連続トライを許すなどして逆転負けを喫してしまったサンウルブズ。次節はホームのひとつシンガポールに移動し、3シーズン連続準優勝中の強豪ライオンズ(南アフリカカンファレンス)と対戦する。

前節に続きペナルティが多発していること、また精度が高まらないセットプレーなどの課題をあらためて修正し、強豪を相手に勝ちに行くラグビーを期待したい。

◇NO8アマナキ・レレィ・マフィがサンウルブズデビュー! 強いフィジカルを披露

昨シーズンはレベルズでプレーしていたものの、当時のチームメイトと係争中で司法判断を待っているNO8アマナキ・レレィ・マフィが、サンウルブズの一員としてスーパーラグビーに復帰した。

後半5分、この試合がスーパーラグビーデビューとなったFLベン・ガンターに代わって途中出場。ワールドクラスのフィジカルの強さを活かしてチャンスを広げ、後半29分のSH内田のトライにつながるゲインもNO8マフィによるものだった。

試合を終えたNO8マフィはこのようにコメントした。

「(サンウルブズのデビュー戦は)久しぶりの試合でしたので、疲れました。アタックでスペースを探していましたが、ディフェンスがあまりよくなくて、後半から相手がだんだん私たちの弱いところを突いてきました。(攻撃的なプレーはしたものの)まだまだです。ちょっとディフェンス(も悪かったので)来週、改善できるようにしたいです。

日本のみなさん、サンウルブズを応援していただいているファンのおかげで、ここまで試合ができた。どうもありがとうございました。まだまだシーズンがあるので、これから自分のプレーを出したいと思います」

また、ハンセンHC代行もNO8マフィについて言及した。

「彼にとっていい経験になった試合と思います。ずっとラグビーをしておらず、ラグビーをしたいという気持ちが強かったので、自分が大好きなラグビーができたことを私もうれしく思います。自分のプレーを詳しくレビューして、どこが改善できるかを一緒に話し合いたいと思います」

9月からのラグビーワールドカップ日本大会に向けて、日本代表への復帰を視野に入れるNO8マフィ。そのためには引き続きサンウルブズで高いパフォーマンスを見せ続けることが不可欠だ。さらなる活躍でチームの勝利に貢献してほしい!

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。