RWC2019

サンウルブズ、シャークスに10―45で大敗。4シーズン目の開幕戦を飾れず

2019.2.16 22:59

毎年、世界最高峰レベルの熱戦の数々が繰り広げられる三菱地所スーパーラグビー(以下スーパーラグビー)がワールドカップイヤーの今年も開幕し、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ(以下サンウルブズ)にとって4年目のシーズンがスタートした。

昨シーズンはオーストラリアカンファレンス最下位、全体15位に終わったものの、1勝止まりだった参入1年目から、2年目は2勝、そして3年目の昨シーズンは3勝と、サンウルブズはひとつずつ白星を増やしてきた。

9月に日本でワールドカップイヤーを控えた今季はさらなる飛躍を遂げるべく、日本代表アタックコーチを兼務するトニー・ブラウン新HC(ヘッドコーチ)が就任。日本代表の指揮に専念するジェイミー・ジョセフ前HCからバトンを受け継ぐ形で新体制に移行。サンウルブズとして勝利を目指すと同時に、日本代表資格を持つ選手を起用しながらその強化を促していくシーズンとなろう。

2月16日(土)の第1節、サンウルブズはホームのひとつであるシンガポール国立競技場に南アフリカカンファレンスの強豪、シャークスを迎えた。ゲームキャプテンを務めた共同主将のひとり、PRクレイグ・ミラーは試合前このように意気込みを語った。

「スクラムで全力でしっかりと仕掛けたい。シャークスはセットプレーでプレッシャーをかけてくるので、ひとつになりたい。セットプレーを安定させればサンウルブズのラグビーができる」

メンバーはPRヴァルアサエリ愛、LOトンプソン ルーク、FLツイ ヘンドリック、SH茂野海人といった日本代表キャップホルダーが並んだ。ワールドカップに3回出場している元日本代表LOトンプソンは37歳にして記念すべきスーパーラグビーデビューとなった。さらに、リーグ屈指のキック精度を誇りチームの得点源となっているSOヘイデン・パーカーや、今シーズン新加入の元ニュージーランド代表であるWTBレネ・レンジャーといった、実績のあるメンバーもともに先発した。

リザーブはHO坂手淳史、PR山下裕史、LOヘル ウヴェ、FL松橋周平、SH内田啓介、SO松田力也といった日本代表経験者を中心とした布陣に。FL松橋は練習生から正式メンバーへの昇格を果たした。また、もうひとりの共同主将で昨シーズンのスーパーラグビー全体ベストフィフティーン、CTBマイケル・リトルもリザーブ入りし、ベンチで腕を撫した。

対するシャークスはこれまで準優勝4回、昨シーズンもプレーオフ進出を果たすなど、リーグ屈指の実績を誇っている強豪。それを象徴する存在が左PRとして先発したバイスキャプテンであり、南アフリカ代表107キャップの「ビースト」ことPRテンダイ・ムタワリラ。その他、右PRコーニー・ウーストハイゼン、NO8ダニエル・デュプレア、キャプテンのSHルイ・シュラウダー、SOロバート・デュプレア、CTBアンドレ・エスターハイゼン、WTBマカゾレ・マピンピといった南アフリカ代表キャップホルダーが数多く先発。

両者の過去の対戦成績はサンウルブズの3戦全敗。しかし、サンウルブズとしては戦い慣れたシンガポールで地の利を活かして開幕からいい結果を残し勢いに乗りたいところだった。

サンウルブズSOパーカーのキックオフで始まった前半、まず5分にシャークスSOロバート・デュプレアにPGを決められ、0―3とシャークスに先制を許す。しかしサンウルブズは9分、スクラム後のフリーキックから素早くリスタートし、SOパーカーが前方に蹴ったキックに、サンウルブズ初出場を果たしたCTBシェーン・ゲイツが反応。ボールに追いつくとそのままインゴールまで走り切り、両チーム通じて初トライを挙げた。SOパーカーのゴールも決まり、サンウルブズが7―3と逆転に成功する。

さらに前半15分、サンウルブズはシャークスのモールコラプシングで得たペナルティからSOパーカーがPGを確実に決めて、10―3とさらにリードを広げた。

しかし直後のキックオフからサンウルブズは一気に攻められ、17分にシャークスのラインアウトモールからHOアッカー・ファンデルメルヴァにトライを、SOロバート・デュプレアにゴールを決められ、すぐさま10―10の同点に追いつかれてしまう。

勝ち越して試合を折り返したいサンウルブズだったが、前半35分、38分とシャークスに連続トライを奪われ10―24。14点のビハインドを抱えて前半終了を迎えた。

後半、先に得点を挙げたかったサンウルブズは、キックオフ早々から敵陣深くまで攻め込みトライチャンスを作ったものの、ペナルティによりその好機を逸する。するとシャークスに逆襲を許し、後半7分にはWTBマカゾレ・マピンピにトライを奪われ、スコアは10―31。3トライ3ゴール差となり、いち早い反撃を要する状況に追い込まれた。

その後も、サンウルブズは状況を改善できず自陣に釘付けにされる時間帯が長くなると、後半21分にはLOジェームス・ムーアが反則の繰り返しによりシンビン(10分間の一時的退出)となり、さらに厳しくなる。シャークスに数的有利に立たれてしまい、後半25分にHOファンデルメルヴァにこの試合2本目のトライを決められる(10―38)。さらに32分、シャークスCTBジェレミー・ワードにもトライを許し10―45。これが最終スコアとなり、サンウルブズは開幕戦を飾ることができなかった。

試合後、サンウルブズの共同キャプテンのひとりPRミラーは試合をこのように振り返った。

「シンガポールでプレーするのは好きなので、ファンの前で勝てなくてとても残念です。次週(2月23日・ワラターズ戦)は東京(秩父宮ラグビー場)なので頑張りたいです。最初の25分、フィジカルは良かったと思いますが、徐々にディシプリンが悪くなってきました。相手はセットプレーが強みなので、その結果モメンタム(勢い)を作らせてしまいました。ワラターズ戦では規律の面は非常に大事になってくると思います。こちらが反則をしてしまうと相手にイージーな試合になってしまうでしょう。これからビデオを見てレビューしたいと思います」

一方、開幕戦を制したシャークスのキャプテン、SHシュラウダーはこのようにコメントした。

「4トライ取って勝ちたいと言っていたので、4トライ以上取れて(6トライ)ハッピーです。今日のFWはモールもスクラムもすごく良かったのですが、最終的にはBKがフィニッシュできたのでチーム全体として良かったです。暑い中で厳しい状況もあったが、しっかり我慢することができて、全体的に試合をコントロールできて最終的にトライまで持っていくことができて、非常にいい終わり方ができて良かったと思います」

4シーズン連続で開幕戦を落とした形となったサンウルブズだが、試合序盤に逆転トライを決めたCTBゲイツをはじめ多くの選手がサンウルブズデビューを飾るなど、経験という収穫を手にしたことは確かだ。まずは次節、2月23日(土)に秩父宮ラグビー場で開催される今シーズン国内開幕戦、ワラターズ戦での本領発揮に期待したい。

 

◇LOトンプソンがスーパーラグビーデビュー戦で約50分間奮闘!

37歳となった現在も体を張ったプレーが光るLOトンプソン ルーク。日本代表としてワールドカップに3度出ているベテランにとって、この試合がうれしいスーパーラグビー初出場となった。

後半10分までの約50分間、最前線で攻守にわたって体を張り続けた。試合後のインタビューでトンプソンは率直な感想を吐露した。

「サンウルブズの初キャップは嬉しいけど、今日の結果はむちゃくちゃ残念でした。ブレイクダウンの細かいプレー、クリーンアウトがちょっと遅かったし、フィジカルバトルで負けたのは残念。規律も良くなかった。ペナルティも多かった。いいセットプレー、テンポを作ったら相手はディフェンスが難しくなったが、自分のミスが多くて相手に勢いつけてしまった」

悔しさがにじむインタビューとなったが、すでに次節を見据えていた。

「ワラターズはワラビーズ(オーストラリア代表)の選手が多いので難しい試合になるが、今日からもう一度、チームを立て直して次のチャレンジ頑張りたい」

「(4度目の)ワールドカップに出たい」と意欲を燃やす“鉄人”の挑戦はこれからも見逃せない。

この記事を書いたひと

齋藤 龍太郎RYUTARO SAITO

編集プロダクション(株)楕円銀河代表。日本と世界のラグビーの“今”を自らの足で取材し日々情報発信しているWeb媒体・紙媒体、「ラグビー∞アンリミテッド」を運営。編集者兼ライター、時々フォトグラファーとしてラグビーのみならず幅広いジャンル、また様々なメディアで活動中。